タクシー運転手はブラックって本当? 真のブラック企業の特徴と回避法
「ブラック企業」という言葉を聞くと、どのような職場を思い浮かべますか?
長時間労働や低賃金、サービス残業などの厳しい労働環境がその典型でしょう。一方で、タクシー運転手の仕事も「ブラック」というイメージを抱かれることがありますが、実際のところはどうなのでしょうか?
本記事では、タクシー業界の実態をデータや具体例を交えて解説し、ブラック企業の特徴や回避法についても掘り下げます。これからタクシー運転手を目指す方や、転職を考えている方に役立つ情報が満載です。
タクシー運転手はブラックで稼げないのか?
ブラックな労働環境の特徴の一つは「働いても稼げないこと」です。
低い給与設定で、会社側が労働者を搾取している状況では、心身共に病んでしまい、長期的に働き続けることは不可能でしょう。
では実際に、タクシー業界の給与水準はそんなに低いのか見てみましょう。
タクシー運転手の最新平均年収
全国ハイヤー・タクシー連合会の調査によると、2023年(令和5年)におけるタクシー運転手の平均年収は418万9,900円です(出典)。
日本の平均年収は460万円であり、全国平均で比較すると確かにタクシー運転手は稼げないように思えます(出典)。
一方、東京都におけるタクシー運転手の平均年収は580万円、大阪府における平均年収は486万円です。都市部においては全国平均以上に稼げています。
また、50代以上に区切って比較すると、全職種平均以上に稼げるもしくはそれと同等レベルの稼ぎを得ることができています。
タクシー運転手 | 全職種平均 | |
50~54歳 | 419万円 | 479万円 |
55~59歳 | 514万円 | 483万円 |
60~64歳 | 429万円 | 389万円 |
65~69歳 | 320万円 | 341万円 |
70歳~ | 306万円 | 319万円 |
アプリや無線で、未経験者でも簡単に稼げる
以前はお客様がいる時間と場所を発見するのには時間がかかり、ベテランドライバーしか稼げないという事が言われていました。
確かに、ベテランドライバーは長年の経験から、どこに行けばお客様がいるのかを把握しているので売上は高い傾向にあります。
しかし、最近はGOやS-RIDE, Uberなどの配車アプリが普及したことで、乗車勤務した初日からお客様を見つける事ができるようになりました。
以前は初勤務から数ヶ月お客様を見つけることができず、給与補償額でなんとか食い繋いだという話を聞きましたが、最近は配車依頼を受けた分だけ稼げるようになっています。
ベテランと未経験者の売上の差はかなり縮まっており、未経験者にとって働きやすい環境になっています。
旅行客の増加でニーズが増加!稼ぎやすくなっている
コロナにより、タクシーの利用者とタクシー運転手が激減しましたが、業界はV字回復を遂げました。
海外旅行客の増加と、ビジネス利用の回復により、タクシーの数よりも運転手が足りていない状況になっています。
加えて、配車アプリの浸透により、これまで利用しなかった若いユーザーもタクシーを利用するようになりました。
最近の東京都内では、流しのタクシーが捕まらなく、アプリで呼ばないと来ないという声も聞きます。
需要が大きく、供給が絞られているので、タクシー運転手が稼ぎやすい状態になっています。
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タクシー運転手は長時間労働でつらいの?
タクシー運転手は長時間運転しなければならず、ブラックである印象が根強く残っています。
これはタクシードライバーの独特な「隔日勤務」という働き方から来ています。
隔日勤務は1回の勤務で2日分の仕事を行い、次の日は丸一日休日という勤務体系です。
1回の勤務で約16時間の勤務を行い、その間に自由なタイミングで合計3時間の休憩をはさむというスタイルになります。
1乗車あたりの拘束時間が長くなるため、ブラックな印象を与えがちですが、本当に長時間労働なのか検証しましょう。
長時間労働が起きないように法律で管理されている
タクシー運転手の労働時間は、厚生労働省が定める厳格なルール(法廷規則)に則って運用がされています。
例えば隔日勤務の場合、
- 1か月の拘束時間は262時間を限度とする。ただし労使協定がある場合は、1年のうち6か月までは270時間に延長できる。
- 1勤務あたりの拘束時間は21時間以内。また、勤務終了後20時間の休憩が必要である。
という事が定められています。
1勤務あたりの拘束時間が長い事と、夜勤が挟まり生活リズムが不規則になるという印象を受けるため、タクシー運転手の働き方がブラックと思われている方も多いです。
ですが、この規則を守るために会社側はタイムカードや乗車記録で厳しく管理しており、会社に帰る時間(門限時間)も遵守するように指導があるので、長時間労働をさせられるわけではないです。
ただ、慣れるまでは時間がかかりますし、やってみたら自分には合わなかったというケースもあります。その場合は、日勤・夜勤・時短勤務など複数の働き方を会社が用意してる場合があるので相談してみましょう。
サービス残業は発生しない
サービス残業を強要させられ、残業代がつかないように勤務記録を調整させられるという話を聞くと、ブラック企業というイメージになるのではないでしょうか。
タクシードライバーの給与体系は歩合制の会社がほとんどであり、働いた分だけ自分の給与に反映される仕組みです。
働いても自分の給料にならないということはないため、クリーンな労働環境であると言えます。
ライフスタイルにあった働き方を選べる
タクシー運転手の働き方は、「隔日勤務」「日勤」「夜勤」「定時制」と様々なスタイルがあり、柔軟に調整することができます。
大部分はシフト制なので、事前に申請をしておけばある程度融通してくれますし、有給は一般的な他の会社と比較してとても取得しやすいです。
なので、夢や趣味と並行させて働きたい場合や、育児や介護などの家庭の事情に合わせた働き方をする事ができるのも特徴です。
最近は、子育てと両立がしやすいといった理由から女性ドライバーが増えて来ましたが、まさにこの勤務時間の融通の効きやすさが後押ししています。
また50代・60代においても、最初は隔日勤務で稼いで趣味にお金を使っていたが、長時間拘束が辛くなってきた段階で、日勤として働き、年金の足りない分を稼いでいるという方もいらっしゃいます。
休憩や有給が自分のペースで取得できる
タクシー運転手は、勤務時間中に自分の好きなタイミングで休憩を取ることができます。
例えばお客様がいない閑散とする時間帯に休憩を取ったり、他のドライバーが休憩しがちな時に自分は働く。空港や駅でお客様を待ちながら休憩する。
といった形で、自分の好きなタイミングで休むことができます。
一般的な会社だと12:00 ~ 13:00でランチの時間が決まっており、好きなタイミングで休めず、どこも混んでいてイライラする… といった事がありますが、そんなことは起きません。
また有給が取りやすいので、家族で旅行にいったり、子供の行事に参加するなども自由な調整がつきます。
自己管理ができる人にとっては、とてもホワイトな労働環境です。
タクシー運転手は危険でお客様トラブルが多いの?
タクシー運転手がお客様を乗せた時に、強盗や酔客とのトラブルに巻き込まれる可能性があります。
またタクシー運転手は長時間・長距離を運転するため、それだけ事故に会う確率が高くなります。それでは直近のトラブルや事故の傾向を見ていきましょう。
タクシー強盗に遭う確率は0.026%【2024年最新】
現在ほとんどのタクシーには、防犯ボードやドライブレコーダー、周りに助けを求めるための緊急通報システムが備わっています。
警察からも、タクシー会社の防犯責任者が講習や防犯訓練を受けており、万一のトラブルの際の対策をきちんと講じています。
その成果もあり、年々タクシー強盗の件数は減少しており
2023年(令和5年)におけるタクシー強盗の件数は56件と、2022年の71件を下回りました(出典)。
2022年のタクシー運転手は21万4000人であり、タクシー強盗に会う確率は0.026%とほぼ発生しない安全な職場になっています。
ドライバーレコード設置率92.4%。カスハラ対策の前進【2024年最新】
ニュースなどで、酔った客がタクシーの中で暴言を吐いたり暴力をふるう映像が流れることで、タクシー運転手はつらいという印象を受けるのではないでしょうか。
最近のタクシーにはドライブレコーダーが標準装備され、全国平均で92.4%、 東京都では99.7%の車両に搭載がされています(出典)。
車内レコーディングにより、車内での暴力行為が録画されていることでの抑止効果や、カスハラといった言葉が認知されて会社側が対応ガイドラインを設置していることにより、これまでのようなお客様トラブルも減少傾向にあります。
死亡事故に遭う確率は1億kmあたり0.4人【2024年最新】
タクシー運転手は長い距離を長時間乗車する必要があり、その分交通事故や死亡事故に巻き込まれる危険性が高いというイメージを持っている人が多い。
実際に2022年における1億キロあたりの交通事故件数を比較してみると、家庭用自動車の事故件数は40.3件であるが、タクシーの事故件数は143件と3倍以上であり、データ上タクシーは事故を起こしやすいといえます(出典)。
これは、タクシーが路肩のお客さんを捕まえるために無理な運転をしてしまった、夜の視界が悪い時に運転をする必要があるので事故率が上がってしまうという理由があるでしょう。
いっぽう縁石に軽く擦ってしまったという程度の軽いものの場合、家庭用車両の場合は申告しない人が大部分かと思いますが、タクシーの場合は報告義務があり事故計上されているので、事故割合が高くなってしまう傾向があります。
一方死亡事故に関しては1億キロあたり、家庭用自動車の死亡事故件数は0.29人、タクシーの死亡事故件数は0.40人とほぼ差はなく、タクシー運転手が危険な職業というわけではありません。
タクシー運転手は誰でもできる仕事なの?
タクシー運転手はスキルが不要だから誰でもできる仕事として、下に見てくるお客様がいるというイメージを持たれていませんか?
確かに運転ができればタクシーの運転手を始めることができるかもしれません。
ですが長くタクシー運転手を続ける事ができるのは、前職まできちんとお仕事をされて来た方が多いです。
最近転職された方ですと、
「アメリカ大使館で20年ほど勤められて来た方」「アパレル会社を長年経営されて来た方」「製造業のエンジニアとして組織を引っ張っていた方」
といった方々がいらっしゃいます。
海外からの旅行客も増え、英語が話せなくても、不快な思いをさせず、きちんとお客様の行きたいところにお連れするということも必要です。
タクシー運転手は誇りを持てる仕事だと胸を張りましょう。
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真のブラック企業とはどんな企業なのか
タクシー運転手やタクシー業界そのものはブラックではありません。
しかし、一定数ブラック企業と言われる会社は存在します。
ブラック企業の特徴はどのようなものなのでしょうか。
運転手から搾取してくる
様々な負担を、運転手側に要求する企業には注意しましょう。
代表的な負担金としては、クレジットカードの決済手数料や配車アプリの利用料がありますが、本来は会社側が負担すべき手数料です。
現在のタクシー利用時の決済は8割方がクレジットカードなどの決済であり、この手数料を負担しなくてはならない場合、生活費が圧迫される可能性があります。
また、事故時の負担金について、本来は運転手が負担する額には上限がありますが、全修理費を運転手側に負担させ、給料から天引きするケースもあります。
労働条件が事前説明と違う
事前に面接で提示された勤務体系や待遇(休暇取得、手当、支援制度)が、入社後に全く違うものになることがあります。
経費負担に関しても、最初聞いていた条件とは全く異なる条件で負担させられるケースがあります。
転職を妨害してくる
労働条件や待遇が、面接時の説明とは違う事に退職を申し出ると、悪評を他の会社に流布して退職を妨害する会社があります。
また、祝い金を受け取っていると、その返却を求められたり、二種免許取得費用を会社で補助している場合は、返金を求められます。
このように、金銭的な要求をすることで、転職を妨害してくる場合があります。
ブラック企業を避けるための対策
それでは、一度入社してしまうと抜けるのも大変なブラック企業を、どうすれば回避できるのか見ていきましょう。
入社前に業界に詳しいエージェントに相談する
タクシー会社の求人情報は似ているものが多く、どこが優良会社であるかを判断するのは難しくなっています。また、ブラックな情報は表に出てこず、面接や実際に入社するまでわかりにくいのが現状です。
どの会社に行くべきか悩んだら、タクシー業界に詳しい内部の人や、転職エージェントに相談しましょう。
シニアタクシーデビューでは50代・60代の方を中心に、未経験でタクシー業界へチャレンジする人を応援しています。
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面接時間が極端に短い会社は避ける
ブラックな会社は面接時間が極端に短い傾向があります。30分ほどの会社概要と雇用条件の説明のあと、その場で内定の合格を出すことで、入社を勧めてきます。
本来であれば、会社紹介や、詳細な労働・雇用条件の通知、求職者面接を行う場合、どれだけ短く行っても1時間はかかります。加えて、通常はその場で内定を出すことはあまりなく、面接が終わってから、もしくは数日後改めて内定の連絡があります。
短いということは、勤務体系や待遇に関わる事項をうやむやにしている可能性があるので、要注意です。
面接時に負担金 / 設備などをチェックする
面接では、勤務条件の他に、どれほど営業時にかかる運転手側の負担金があるかをチェックしましょう。
また、面接会場はその企業の最も良い面が見れる場所ですので、実態とはかけ離れている場合があります。
整理整頓がされている職場か?トイレは綺麗なのか?商売道具である車両はきちんと清掃・整備されているか?などを面接の前後に確認することをオススメします。
筆者の経験上、事務所の管理が行き届いていない場合は、従業員の扱いに対してルーズである場合が多いです。
面接時に従業員の振る舞いをチェックする
面接時に営業所を訪れた際、ドライバーの身なりや態度・雰囲気に注目しましょう。
目をみて元気に挨拶をしてくれるか。雰囲気は良いか。顔色が問題ないかを見るだけで、社風を感じることができます。
服装が乱れていたり、マナーが悪い従業員が多い場合、職場環境が緩みがちです
タクシー業界は働きやすい業界だが、ブラック企業には気をつけるべき
タクシー運転手の働き方は「ブラック」という先入観で判断するべきではありません。
給与面や働きやすさにおいて業界は改善を進めており、特に都市部では高収入を目指せる環境が整っています。また、配車アプリの普及や労働時間の厳格な管理で、未経験者でも安心して始められる仕組みが整備されつつあります。
一方で、ブラック企業も一部存在するため、就職時には企業の実態をよく見極めることが重要です。一度入社してしまうと、そこから抜け出す事が難しい構造になっています。
転職を考えた際には、面接時の確認を徹底し、業界に詳しいエージェントに相談をしてみましょう。
後悔しない会社選びなら、シニアタクシーデビューに相談!
タクシー運転手で間違った会社選びをしたく無い方は、「シニアタクシーデビュー」に相談しましょう。
シニアタクシーデビューは、50代・60代に向けたタクシー専門無料転職支援サービスです。未経験者のサポートに強く、タクシー会社からは教えてもらえない知っておくべき情報もご紹介。
また、ご面談でヒアリングした情報をもとに専門スタッフが推薦状を作成するため、求めている条件に合致した会社を紹介してもらえる可能性が高くなります。
タクシー運転手として会社選びを後悔したくない方は、シニアタクシーデビューをぜひご活用ください。
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